シェアハウスのネットワーク設計-20人が同時接続しても途切れない高速メッシュWi-Fi

このご依頼は全国展開するシェアハウスの運営会社様からいただいた案件です。

先に別物件のネットワークトラブルを解決した際に、施工中であった20人前後が居住できる大型シェアハウスで安定したネットワークが使えるように設計と工事業者さんとの話し合いに同席してほしいというご相談から始まりました。

結論から申し上げると、クライアント様の誤認と工務店様の設計間違いをフォローし無事に予算内で安定したネットワークを構築し、現在もトラブルなくシェアハウスのインターネットは稼働中です。

サクラエージェントは京都市東山区を拠点にしている事業者です。

目次

工事業者さんを交えた打ち合わせ

依頼された企業様から「まずは工事監督と話をしてほしい」ということで現場に集合しました。

施工を担当するのは京都市内に在る実績も豊富な工務店様でしたが、

「インターネットのことに関してはいまひとつわからない」

ということでサクラエージェントのアドバイスを受けたいということでしたので、LAN設計からするつもりでおりました。

現場監督の方と依頼会社の担当者さんとの三者で話し合いが始まり、

オーダーは10ギガ契約の高速光回線で、安定したメッシュネットワークの構築

というご要望でした。

しかし、一般の方にはまだあまり認識されていませんが光回線の10ギガ契約を活かすためにはそれに対応した機器と設備が伴っていなければならないため、現在主流の1ギガ回線のネットワークに比べて膨大な費用がかかることになります。

回線契約だけ10ギガにすれば良い』という簡単な話ではないのです。

まずはその説明から始めることとなりました。

特にLANケーブルは一度建物構内に引き回してしまうとやり直しが大変ですからね。

閑静な住宅街にある立派な建物を大改装して「20人が共同生活出来るシェアハウスにする」というプロジェクトでした。

10ギガ回線契約を想定した屋内LANはまだ一般的ではないので、2025年の新築でも敷設LANを確認してみたら1ギガ用ケーブルということは当たり前のようにあります。

本件の工務店さんと話をしたところ、業者さんでも知らずに安価なLANケーブル(CAT5e=1ギガ対応ケーブル)で施工するのが普通なのだそうです。

あとは主にWi-Fiを使うので有線接続にこだわらない人が多いからというのも在るでしょうね。

LANの増設指示

打ち合わせの後、そのまま次は改装中の物件の間取りと構造を見せていただくことになりました。

建物自体は元々誰もが知っている大企業さんの保養施設だったというだけあって、かなり堅牢なRC造。三階建てで各階のフロア面積も広いためWi-Fiのアクセスポイントは一つでは到底足りません。

一通り構内を案内されましたが建物にはすでに工務店さんの設計によりLANコンセントが作られていました。私との打合せの前に着工はされていたためです。

しかし、問題はここからすでに始まっていました。

Wi-Fiアクセスポイントは電波が飛ばせる距離には限りがあります。障害物が何も無い空間ならかなり電波が行き渡りますが、実際に人が住む屋内に設置した場合は必ずWi-Fi電波は減衰します。主な障害物となるのは、

  • 家具(特に金属)
  • ドア扉
  • 壁(特にコンクリート造)
  • 家電製品
  • 断熱材(特にアルミ素材)

以上のような物の他、以外と知られていないところでは『人間』も水分が多いのでWi-Fi電波を遮る原因になります。

なので、同じ建物の中にたくさんの人がいるシェアハウスなどではそのあたりも考慮してWi-Fiアクセスポイント複数台を設置する位置はケーブルの長さを調整するなどして通常の見立てよりも狭い間隔でとるようにしています。

しかし本件は先にLANコンセントが完成済であったためアクセスポイントを設置出来る位置が限定されてしまうのに「とりあえずこれ以上LANを増やす計画はない」という話でした。

光ファイバーの引き込みが建物1階の端っこで、もったいない位置でした。ここは仕方ないです。
工務店さんがLANを作った位置の内2個所は、2階と3階のパントリー収納棚の中。扉も常に閉めるようにするため、ここでもうWi-Fiが減衰してしまう設計でした。

それでもこれで機器を設置してみて「Wi-Fiが届かない部屋がある」となってしまえば、内見している以上は私の責任ですので「これだと部屋の奥までWi-Fiが届かない可能性があるのでこの位置に増設をお願いします」と要望を出しておきました。

結果を伝えておくと、その判断が本件を無事成功させる肝となり自分でいうのもなんですが

指示したLAN増設位置は完璧な場所でした。

実態に合う機器の選定

前述の通り、依頼者様のご要望は

10ギガ光回線で安定したメッシュネットワークの構築

でした。しかし、この20人が共同生活をする規模のシェアハウスとなると家庭用ルーターよりは業務用ルーターを設置したほうが無難でしょう。

10ギガ回線を活かすためには10ギガに対応した機器と設備が必要なのですが、業務用の10ギガルーターはそれ1台だけで15万円くらいはします。ネットワークにかける予算は30万円までと決められていたので、完全にオーバーとなります。

また、Wi-Fiアクセスポイントも10ギガ対応のものは当時非常に少なかったので、

「そもそもシェアハウス全体に10ギガのネットワークは必要なのか」という問いかけをした上で2パターンの見積もりを作成しました。

ゴリゴリの業務用仕様。高い!でも、大手の業者さんに頼んだら同じ内容で80万円以上は請求されますよ!それとこれでも実際のWi-Fiは2.5ギガまでです。こちらはスピードよりも安定と、セキュリティを重視した設計です。
見積もり②。こちらは10ギガをなるべく活かした設計です。このあとに話し合いを重ねてより良い機器構成で予算30万円以内で収まり作業は完了しています。
見積もり①

業務用ネットワーク機器の定番『YAMAHA製品』を使った機器構成です。安定を望むなら間違いなくコチラですが、10ギガネットワーク用の機器はいずれも高額。

運営会社の担当者様だけでなく現場監督も存じていなかったので、販売サイトを見せながらほぼ粗利は乗せていない状態なのにこの金額に、大変驚いておりました。

こちらのメッシュネットワークはローミングでの設計です。

見積もり②

家庭用ネット機器の定番『BUFFALO製品』を使った機器構成です。Wi-Fiで10ギガ回線の速度を発揮させたいのなら、実は業務用よりもコチラになります。

しかし、Wi-Fiは、速いのと安定するのは別問題です。バグ報告もあるためメンテナンスの頻度が懸念材料でした。

それと、オーダーに対しての予算が予算なだけに運用途中で機器の買い替えとなる可能性があることもしっかりとお伝えしてあります。

結果は勿論ですが後者の見積もり②が採用されました。

そもそも10ギガ回線にこだわっていた担当者さんがよく理解をしないまま10ギガ回線の契約をしていただけで、Wi-Fiアクセスポイントはその方お気に入りの「TP-LinkのDecoを設置したい!」と言われたからです。

指定された機種はDeco_X50・・・思いっきり1ギガ対応の機器です。なのでちゃんと説明をして、

「メインとリビングだけは10ギガ対応機器にして、個々の居室に飛ぶWi-Fiは1ギガという機器構成にして予算を抑えましょう」

というサクラエージェントから提案で意見がまとまりました。これが現実的ですよね!

実際に採用した機器

出展:https://www.buffalo.jp/product/detail/wxr-6000ax12p.html

アクセスポイントとして選んだのは今は亡き、WXR6000AX12P 。珍しい10ギガLANポートを備えたBUFFALOの機種でした。

懸念していた不具合も起こらず、指向性アンテナを持つこの製品は本件の成功にとても貢献してくれました。

大元のルーター(ホームゲートウェイ)は上位機種である WXR18000BE10P を採用。これでも妥協です。

最終的には見積もり②から機器構成を変更して予算の30万円以内で収めることが出来ました。

設置設定、問題発生

見積もりもなんとか通り、本件は無事ご成約となり使用機器の調達後に設置のために再度訪問しました。

そこで、いきなり問題が。。。

現場監督さんに申し訳なさげに呼ばれお話を伺うと、打合せの際に指定した10ギガ用LANケーブルの施工を間違ってしまったということでした。正確に言うと私との打合せ前に担当者さんとLAN配線の話は進んでいて、そんな規格があると誰も知らずに1ギガ用のLANケーブルを下請け業者さんに注文をしてしまっていたので修正が出来なかったそうです。

なので、別に業者さんのミスではないため指定LANケーブルへの張替えは有償です。めちゃくちゃお金がかかります。

ガーン!・・・もうこの時点で本物件は10ギガネットワークは不可能となり、10ギガ契約なのに1ギガでのネットワークしか使えないということになります。10ギガ対応機器とは一体なんだったのか・・・

「(ネットのことは上手く説明できないので)サクラエージェントさんから依頼会社さんに説明してもらえないか」というので代弁したところ、担当者さんも青ざめていました。ご愁傷さまです!

すでにLANケーブルは建物全体への引き回しが完了してしまっていたので、やり直すとなると予算以前にシェアハウス居住者受け入れの納期に間に合わないということで、そのまま1ギガ設備で運営していくこととなりました。トホホ・・・

予算オーバーのYAMAHA製品にしなくて、本当に良かったですね。

更にその後も機器設置の流れでLAN配線の失敗箇所を2箇所発見するなど、ネットワーク部分に関してはサクラエージェントのフォローによりトラブルを未然に防ぎつつ納期に間に合ったと言っても過言ではない案件でしたよ!

言わなくて良いことは言いませんが、肝心なことは遠慮しても仕方ないのでズバズバ言います。入居者さんからのクレームになる事態だからです。
一度やり直してもらって、そのあと他箇所でも同じ配線不良があり直してもらうこととなりました。納期が迫りまるなか、私の機器設置が出来ないまま時間が流れます・・・。

下見の重要性、LAN増設

Wi-Fiアクセスポイント機器の仮設置後、やはり想定していた通りの問題が発生しました。

Wi-Fi電波が届かない居室が複数箇所あったのです。

今回採用したBUFFALO機器で構築するメッシュネットワークはEasyMeshという規格を利用しました。

EasyMeshに対応した機器同士ならメーカーが異なっていてもメッシュWi-Fiに出来るので便利では在るのですが、無線+無線という接続ですと安定しません。本当に、全く安定しません。

そのため有線バックホール前提で設計をしていたのですが、工務店さんが設計して施工済みだったLANコンセントの位置ではWi-Fiアクセスポイントの電波がまず居室までは届かないだろうと予見していたのですが、その通りの結果となったのです。

そこで、私がリクエストしていた天井裏へのLAN増設を再度お願いしました。

全く重要視されていなかったため準備もされておらず増設までに時間を要しましたがこの一箇所の追加施工により工事完了後は見事、全部屋にWi-Fi電波が行き渡るようになりましたよ!

ガーン!言っておいたじゃないですかーっ(泣)
サクラエージェントの予想通り、工務店さんのLAN設計ではWi-Fi電波は全居室をカバーすることは不可能でした。

建物全体をカバー出来るメッシュネットワークが完成

幾多のトラブルに見舞われたものの、既設LANと追加オーダー分のLAN増設によって、本件のメッシュネットワークは無事に完成しました。

下り速度は平均500Mbps前後、どんなに遅い部屋でも120Mbpsは出ているので、日常のネット利用で困ることは、まずないでしょう。

本件の運営会社様とはその後も京都市内の別物件のメンテナンスをご依頼していただけており、良好な関係が続いておりますよ!

京都市内及びその近郊で、シェアハウスやゲストハウスなど管理物件のインターネットの速度やWi-Fi電波の飛距離でお困りのお客様は、是非サクラエージェントにご相談下さいませ。

大手の業者さんの半額から2/3までの費用で、快適なネットワーク環境の構築をお約束致します!

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